じゃにずについて考えたり妄想したいだけのブログ

じゃにずの皆様(関ジャニ中心)について、ただひたすら尊敬の念を込めてすげーなすげーななんでだろーっていうだけのブログです。

社会人向け関ジャニのヒーローソングについて考える

「典型的アイドルソング」という表記は、過去の私の概念的かつ偏見的な主観に基づいたものであり、特定の何かを指しているものではありません。以下の文章には読みやすさを考慮して、断定の表現等も使用していますが、あくまでも私(社会人)の思考です。

序論

 社会人になってから、気がついたらあっというまに時間がたっている。社会人はだいたい疲れている。もともと持っているエネルギーが減り、漠然といろんなことがめんどくさいなぁと思うようになる。朝になったら仕事へ行き、残業をし、実家暮らしじゃなければ帰ったら自炊に掃除洗濯。休みは気がついたら終わっている。仕事行きたくないが口癖になる。五億が欲しい。そういう人がツイッターにはたくさんいる。*1

 私にとって一番関ジャニの曲が染みるのは仕事からの帰り道である。関ジャニの歌というのは、社会人のヒーローソングだと感じている。世の中にはたくさんの応援歌が溢れているが、私はなぜか「関ジャニの曲」がとりわけ好きである。そこで今回の記事では、私的社会人応援ソングの歌詞をじっくり眺め、その魅力について考えていこうと思う。

本論

怠い もう嫌だ 帰りたい 眠い 暑い 寒い 全部終わらせたい(Your WURLITZER

 応援歌の内容を「現実はこう」「だけど頑張ろう」と二分するならば、典型的アイドルソングのイメージとしては「現実はこう」が1~2割で「だけど頑張ろう」が8~9割である。「現実はこう」はあくまでも前置きにすぎず、「頑張る私」へ辛い現実をあまり突きつけずに、綺麗な言葉を並べて、夢や希望を抱かせてくれる。典型的アイドルソングにとって、辛い現実というのは傷のようなものであり、触れない事が優しさのように扱われていることが多い。そのため比較的早めにマイナスなことは切り上げ、キラキラな幸せの未来の世界を中心に歌う。


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 それに対し、関ジャニの曲はこの「現実はこう」の部分が長く、かつ具体的であるものが多い。

いつも夢に選ばれないまま 日が昇り沈んでいく日々
そこに僕の姿がなくても世界は簡単に回った(Heavenly Psycho)

なんでやねんどないやねん ツッコミたくなるぜ 思うように歩けない厳しい世の中
オトナぶって飲み込んだ言葉は腹の底 消えないままくすぶって キリキリ痛むけど(モンじゃい・ビート)


 私は子ども時代に描いた理想とは違う『大人』の世界に生きている。いろんなことにもやもやイライラを抱きつつも、まあそんなものかと諦めて自分を削って生きている。関ジャニの曲はそんな現実を歌った曲が多い気がしている。関ジャニの曲を聞いていてあまり夢に浸ったことはない。*2
 ただ、そこで歌われている現実は、確かに社会のすみにいる誰かの現実であるように思う。関ジャニは皮肉な現実をふわっとした言葉でごまかすことをしないため、「現実はこうだよな!」「現実はこうだよな!」「現実はこうだよな!」と連打する。しかし、これが不思議なもので、第三者的に「わかるよ」と言われるよりも「わかってもらっている」気がしてくる。それが日々不満を殺していて「大人ぶっている」我々に突き刺さるのだと思う。上司の悪口をぶちまける同期飲み会は盛り上がる。それと似たようなものかもしれない。*3


恥さらす生き方どうしようもなく美しい(へそ曲がり)

 以前の記事にかいたことと重複するが、関ジャニの歌詞の多くは赤裸々で、泥臭い、人間臭いと言われるほど、実に等身大だ。現実の彼らは二枚目だが、歌詞の彼らにはどこか残念な三枚目感がつきまとっていて、わたしたちと「同じである」という錯覚を起こさせる。

挫折に絆創膏貼って平気なフリしてく
与えられた成功なんていらんと強がり(へそ曲がり)

垂直ジャンプ 0.5秒 しょぼくてゴメン それでも空に近づいたと 言い張っていいでしょ?(応答セヨ)

もっと頑張って、頑張って 駆け抜けて光を追い越して もう一切 金輪際 弱音や不安を閉じ込めて(LIFE~目の前の向こうへ~)


 「この人は信頼できる」「何でも話せる」といった信頼関係のことを、心理学用語で「ラポール」というらしいのだが、このラポールを短期間で形成するにあたり有効な手段のひとつが自己開示である。「かっこつける」という行動は、かっこわるい部分があって初めて可能になるわけだが、関ジャニの歌は強がる歌詞を巧みに使いながら、同時にその裏にあるかっこわるさをさらけだしているとも言える。

 情けない自分に対して自己嫌悪しているとき、とても心細くなる。自分だけがこんなにできないのではないか、自分だけがこんなに弱いのではないかと周りと比較しては落ち込むことがある。関ジャニの曲は、自分の気持ちとしてその恥を歌い、わたしの大人になれない部分と同化してくれる。笑っているあの人も、気にしてなさそうに見えるあの人も、強がっているのかもしれない。みんなそれぞれに情けない自分を隠してるんだと。


思うようにいかない 人生はそんなもんだよと あきらめてしまうほど 俺らは素直じゃない(咲いて生きよ)

 上記に述べたように、社会人の辛い現実とは、①厳しい社会 ②情けない自分 という二つの「思うようにいかないもの」で構成されているように思う。ここまではわたしも関ジャニも同じである。しかし関ジャニの歌詞はここからさらに一歩前へ進む。頑固で負けず嫌いで、自分に対する言い訳を許さないのが代表的な関ジャニソングスタイルであると考えている。

言い訳と弱音をやめたら あとはドアを開けるだけ(なぐりガキBEAT)

この時代でこう息吸って 預かった一つ命をなぁなぁって 有耶無耶にしちゃって さらりと終えたくはないんです
食いしばっては 汗かいて 言い訳にケリくれちゃって 立ち向かっては失って たしかに理想に迫っていく (ER)

 関ジャニソングには現実の壁だらけで、わたしと同じように苦しみ挫折する。しかしわたしがそこで悶々と停滞するのに対し、関ジャニソングはとにかく壁をぶち壊す。

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 何か失敗した時にその事を責めるのではなく、次にどうするかを考えることが大事だという。関ジャニの曲はきちんと現状を踏まえた上で前を向き、このやろうやったろうやないかという意気込みにあふれている。

 この意気込みは誰かのためではない、自分のためである。地位や名誉といった他者から与えられるものではなく、単純に情けなくカッコ悪い自分でいたくはない、その意地で彼らは壁をぶち壊そうともがいているのだ。大人になって社会の常識に従い、人から与えられる評価のために必死になっていはしないか。関ジャニソングにおいては理想の自分になることが努力の目的であり、その健全ながむしゃらさがわたしに忘れていたものを思い出させてくれるような気がするのだ。


眠れる獅子を起こせ 生き様は己の心一つ(NOROSHI)

 そのように自ら目標を掲げているだけあって、関ジャニソングは自分に厳しくあるものが多い。目をそむけないで歌う負のエネルギーの反動かのように、歌われる正のエネルギーも人一倍強い。それを何度も繰り返すというのが関ジャニズムだ。

泥だらけって分かっても踏んだ水溜まり 大切なもんを守って心削っていく 泣き笑い笑い泣き 情熱を詰め込んで(へそ曲がり)

何千回も夢を見て 何千回も諦めて それからだぜ 小細工はなしさ どの道 この道 俺道ストレート
逆境も 理不尽も 屈辱も 暗闇も 失恋も 残念も 台風も まとめてかかってこい(ゴリゴリ)

 彼らは何度も挫折し、そのたびに這い上がる。聞く前は確かにこちら側が疲弊していたはずなのに、聞いていると逆にこっちが「大変だな……休んでいいんだよ……」という気持ちになってくる。

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 ヒーローの中身はただの人間だ。それを知っている大人でさえかっこいいと思うヒーローが関ジャニソングの中にいる。頑張ることがダサくて、斜に構えているのがかっこいいと思う時期を経験した自分が関ジャニの歌を聞いていると、まっすぐに努力できる人はすごいのだ、美しいのだと思う。

 関ジャニの歌は一方的に頑張れとはあまり言わない。とにかく自分が頑張っている。頑張れというのではなく、頑張っている姿を見せることで誰かを励ますそのいでたちは、やはりヒーローを彷彿とさせる。子どもたちが熱いヒーローに憧れヒーローソングを口ずさんだように、私にとって関ジャニの歌はヒーローの背中が見えるようなヒーローソングだ。


絶対 ふりむくわけにはいかないぜ さらば昨日の悲しみよ(ふりむくわけにはいかないぜ)

 こういう背景を踏まえて、楽しい関ジャニソングを聞くとまた違った一面が見える。明るい面白おっちゃんというイメージに違わず関ジャニの曲は明るくて楽天的、言ってしまえばあまり考えてなさそうなとにかく楽しそうな曲が有名だ。しかし、前述のように関ジャニソングの彼らは強がろうとしている。内心ネガティブな気持ちを抱えていても、虚勢であっても前を向こうとする。

三振でも、さぁかませ 肝心なのは折れない心だぜ
何回転んだってタダでは起きないぜ(ナントカナルサ)

我人生旅 お祭り大騒ぎ スイモアマイモ越えて(前向きスクリーム!)

ヘコんでもいけ somebody!! 理想ばっか増えるけど 抱えて飛んでみりゃ良いさ(急☆上☆Show!! )

 明るく誘いかける歌詞に、よくよく見ればにじみでる辛い経験。この曲の彼らもまた、三振したり、何度も転んだり、辛かったり、凹んだりしているのかもしれない。だからこんなにこっそりひっそりマイナスワードを潜ませて、それを覆い隠すように馬鹿明るい歌詞を並べているのかもしれない。強がって前向きにふるまう歌詞から見えるいじらしさ、健気さ、そして芯の強さに、日本人はぐっときやすい気がしている。
 もちろんそこに同情はいらない。一緒にしんみりするくらいならその虚勢を尊重して一緒にアホになること、笑顔で歌うことが、この歌詞の醍醐味である。全力で楽しんで、明日を共に頑張ろう。
 

君が泣いていないか泣いていないか心配だ きのう通り沿いのパンジーが咲いたよ(イエローパンジーストリート

関ジャニの熱い曲によって、ちょろい私の心理サイクルはだいたい図のように回っている。

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 頑張った結果うまくいけばいいのだが、当然いかないこともあるのが現実だ。ぐるぐるとまわり続けているとしんどくなってくる。そんなときにふっと肩の力を抜いてくれる優しい曲がある。

自分だけじゃないさとわりきればそれまでだけど 頑張れのその一言が また君に無理をさせてはいないかい(ワッハッハー)

 彼らの心配の仕方は少し遠回りだったり、おどけたニュアンスを含んでいたりする。本人たちはかっこつけて歯食いしばって戦おうとするのに、他人にそれを一方的に強制したりもしないし責めたりもしない。関ジャニの歌はどこまでも現実的で、だからこそ折れそうになるわたしには「しゃあない!」と笑いかけてくれる。しんどいとき、どうしようもないとき、自らを鬱状態に追い詰める前に逃げ道を作ってくれる。

頑張れ頑張れって言う声が邪魔だ さぁみんなで逃げようぜ(Great Escape大脱走~)

 この曲は、逃げて良いよじゃなくて、逃げようというところがいい。関ジャニの曲は追い詰められた社会人を救ってくれる。視野が狭くなってしんどいとき、味方がいないとき、肩をぽんとたたいて明るい方に誘ってくれる。本人は逃げたくないと散々歌っているくせに、辞めたって、休んだって、逃げたって、いいのだとお茶目に肯定してくれる関ジャニの曲を聞くと、なんだかほっとして泣きそうになる。


「閉ざされた心のドアは内側からしか開けらんない」(象)

 関ジャニの歌は強い姿も情けない姿も見せてくれて、私を励ましてくれる存在だが、結局は関ジャニの歌の力を得て「私が」なんとかするしかない。

苦しむために生きないで あなた自身を愛してくれ(ふりむくわけにはいかないぜ)

どうしようもなく情けない自分も愛していけ!!(ER2)

 社会人は自立した一人の大人として扱われる。自分の人生に自分で責任を持って生きなければ困るのは自分だというのもわかっている。それをわかっていてもなお、不満や焦りに心乱される。自分で手一杯の私は、子どもの頃に憧れた他人を救うヒーローにはなれないかもしれない。それでも自分の脚でしっかり立てばいいのだと、先頭に立ち示してくれる関ジャニの曲は大人が夢を見ることや、その自尊心を肯定してくれるのだ。


総括

 横山さんは渋谷さんの脱退の後、あらためて関ジャニの曲っていいなって思ったそうだ。背中を押してくれたと。
 関ジャニの歌はよくもわるくも根性論な曲が多い。現代にそぐわないと感じられるかもしれない。しかし私は根性論のすべてが悪いわけではないと思っている。他人に対してではなく、自分が幸せになるために根性なしではいられない。関ジャニは「全部頑張らなくていいよ」と言ってくれなくていい。頑張ろうと言って、情けない社会人と一緒に切磋琢磨してほしい。
 感情の色をつけるのがうまい彼らが歌えば、これらの曲は歌うたびにひとつひとつ違った顔色を見せる。ひとりの人生がうかぶ物語のようになり、より心に突き刺さる。
 酸いも甘いも味見してきた社会人は、キラキラの夢よりも、挫折を繰り返しながらもなお関ジャニが歌う泥だらけの夢の方に惹かれた。失敗して泣きたくなって、うまくいかなくなって、辛くて、でも現実で頑張らなきゃいけないときに関ジャニのCDを聞いてほしい。そこには、人間らしさに溢れたヒーローソングが詰まっている。頑張れるのは自分だけだ。そう言ってまた立ち上がろうとするその背中を、関ジャニの歌はそっと押してくれるのだと思う。




応答セヨ
モンじゃい・ビート
ER
ナントカナルサ
前向きスクリーム!
急☆上☆show!!
ふりむくわけにはいかないぜ
イエローパンジーストリート
へそ曲がり
Great Escape大脱走
NOROSHI
ゴリゴリ
咲いて生きよ
Your WURLITZER
ワッハッハー
なぐりガキBEAT
ER2

LIFE
Heavenly Psycho
ここに

*1:私もである

*2:キラキラの夢に浸っていたい!!人にはふわふわポムポムをオススメしている

*3:違うかもしれない